「行動経済学」からみる、ホリエモンの発言はなぜ炎上するのか?

「行動経済学」からみる、ホリエモンの発言はなぜ炎上するのか?


ホリエモンの発言がよくメディアに取り上げられ「炎上」しています。
なぜこんなにホリエモンの発言が人の気持ちを逆なでするのでしょうか?

仕組みを知ることであなたも炎上させることが可能かも!?

「行動経済学」の面から、炎上理由を探ってみようと思います。


「損得で成り立つ世界」と「感情で成り立つ世界」
行動経済学とは?

人間がかならずしも合理的には行動しないことに着目し、伝統的な経済学ではうまく説明できなかった社会現象や経済行動を、人間行動を観察することで実証的にとらえようとする新たな経済学のこと。

2つの例をとってわかりやすく説明していきます。

一つ目はレストランでの話。
Aさんは結婚記念日にレストランを予約しました。
普通の食事を期待して行ったのですが、 サービスが対応が素晴らしく、おいしい食事に感動したAさんは、店長に

「おいしい料理をありがとうございます。おかげで素晴らしい一日を過ごせました。これは少ないですが感謝の気持ちです。」

そう伝えて会計より1万ほどチップとして多く支払い、店長もそれを喜んで受け取りました。
この場合は、「感謝の気持ち」 =「金額」で特に違和感なく受け取れます。


次にAさんが奥さんの実家を訪れたときの話です。
Aさんの義母は料理が得意で、この日もおいしい手料理を作ってくれました。 ほんとうにおいしく満足したAさんは、義母にこう言いました。

「いやー、お義母さん本当にどれもおいしかったです。お礼の気持ちとして1万円払います。」

これを聞いて、義母はどう思うでしょうか?
きっと怒ってしまうでしょうね。

事象としては、どちらも提供された「料理やサービス」に対して、「金」で応えるという図式で全く違いはないわけですが、なぜ前者が相手に対しての「称賛」になるのに、後者では「侮辱」になるのでしょうか?

答えは簡単で、この世界は「損得で成り立つ世界」「感情で成り立つ世界」が同時に存在しているからです。


人間とは、損得という合理的な思考でルールを作り行動する一方で、感情という非合理なものも重要視する生き物です。
しかも、金のやりとりに関してさえ、「損得で成り立つ世界」と「感情で成り立つ世界」の境界が割りとあいまいなんですね。

ホリエモンの発言が炎上する理由は「損得で成り立つ世界」の側に立つ人間が、「感情で成り立つ世界」の側の人間をばかじゃねーの?と言っているからです。

今度ホリエモンの発言が炎上したときに注目してほしいですが、「損得で成り立つ世界」の立場で、その合理性を武器に「感情で成り立つ世界」を否定するような形になっていることが多いです。

「感情で成り立つ世界」は必要か?
ではなぜ「感情で成り立つ世界」の人間は、「損得で成り立つ世界」の人間の合理的な発言をここまで嫌悪し、炎上するのでしょうか?

というか「感情で成り立つ世界」ってそんなに重要なんでしょうか?
ホリエモンのいうようにバカのすることなんでしょうか?

確実に「感情で成り立つ世界」が重要とされるところが一つあります。

それは、家庭です。

合理的な「損得で成り立つ世界」のみでは、子供を産み、育てるということが説明できません。
資産家が、子供が生まれたばかりの若い夫婦に、

「2億円で、その子を引き取らせてもらえませんか?」

と言ったとして何人が承諾するでしょうか?

「損得で成り立つ世界」では、子供を産み育てるという行為はあまりに不合理すぎて説明できません。

そのため「感情で成り立つ世界」は必ず必要で、「損得で成り立つ世界」のみでは人類は存在しえません。

「感情で成り立つ世界」の側の人間が、「損得で成り立つ世界」の合理的な発言を嫌悪する理由は、 この社会の根幹をなすはずの家族的なつながりを否定されるからです。

東日本大震災のような命にかかわるような災害が起きると、普段は家族内あるいは親しい友人に限定されていた「感情で成り立つ世界」の領域が 近所のコミュニティ、県内、さらには国内、世界へと拡張される傾向があります。

そのためホリエモンの、「自粛するとかばかじゃねーの」発言が炎上するわけですね。

ビジネスに利用される家族的つながり
生命保険のCM見て違和感を感じませんか?

保険会社と契約者の間の関係は、単純にお金のやりとりだけの関係なので、完全に「損得で成り立つ世界」の話ですよね?

病気になったときに保険会社が被保険者に対してお金を払うのは、家族的な思いやりがあって支払うわけではなく、ただただ契約書にそう書いてあるからにすぎません。

父親が家族のことを思って、生命保険に入るのは間違いなく家族愛からですが、契約者と保険会社との関係は違いますよね?

なので、一番合理的な保険のCMは、

掛け金がいくらに対して、他社はこれだけしか支払わないのに、うちはこれだけ払いますよ。 未払いもありません!
というのが、最も説得力のあるアピール方法のはずです。
アヒルがでてきて、サポートするみたいな家族的な温かみのあるCMになるのか説明できません。

なんで、保険会社はCMでことさらに家族の温かみを主張するのでしょうか?
それは「損得で成り立つ世界」と「感情で成り立つ世界」に金額的な差があるとそれが儲けにつながるからです。

親は私のために無料で洗濯、掃除してくれますが、他人に頼むと数千円かかります。
同じ結果でも、「損得で成り立つ世界」と「感情で成り立つ世界」では金額に乖離がでます。

もっと直接的に言うと、保険会社が家族的なつながりを主張する理由は、他社に対して金額が割り高もしくは同等でも、イメージが良ければ加入してくれるからです。

結論
人間は「感情で成り立つ世界」なしでは存在しえないので、ホリエモンのような合理性至上主義はいきすぎだと感じていますが、かといって家族的なつながりを重要視しすぎるとそこを利用されて損しますよね。

自分の頭で両方の世界を考えたうえで、バランスをとることが大事だと思います。

今言ったような話は以下の本を読めばよくわかるので、この世界の仕組みを知りたい人にはお勧めです。

まぁとはいいつつも、俺もガッキーがCMしているという理由で十六茶買いまくってるんですけどね。
だってめっちゃかわいいやん。

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Text by Takashi Yoshida