仕事の効率を上げる「タスク分割」のすすめ

仕事の効率を上げる「タスク分割」のすすめ


タスク分割の目的は、ピータードラッカーの次の言葉に集約されます。

成果をあげる秘訣を一つだけあげるならば、それは集中である。
成果をあげる人は最も重要なことから始め、しかも一度に一つのことしかしない

Peter Drucker

つまり逆に言うと、成果を上げられない人は、 重要度の低いことから始め、しかも同時に複数のことをやっている

ということです。

マルチタスクの弊害
マルチタスク (複数のタスクを同時に行うこと) の一番の弊害は、 限られた脳のワーキングメモリを全く関係ない別のタスクで汚染させてしまうことです。

※ワーキングメモリとは認知心理学において、短い時間に情報を保持し、同時に処理する能力のことで、個人差はありますが容量には限界があると考えられています。


なぜタスク分割するのか?という問いに対する答えは、
「やるべきことを明確にし、一度に一つのことに集中することでワーキングメモリを節約すること」
です。

例えば、タスクリストに、「業務報告資料を作成する」 というように書いたりしていませんか?

そのタスク大きすぎませんか?


タスク分割の方法
ここからは実践編です。上で挙げた
「業務報告資料を作成する。」
というタスクを例にとって分割方法と実行の優先順位について説明したいと思います。

1.全体把握から詳細へ

タスクを行う上で守らなければならないことは、全体を把握した後に詳細を詰めるということです。
例えば、あるデータAが必要だと思い、そのデータについてExcelなどで一生懸命まとめたとしても、最終的に全体の論理展開を考えると、あれ?このデータ必要ないよね…となることがよくあるからです。 その分の作業が丸々無駄になってしまいます。

なので、まず業務報告資料を作成する。というタスクは以下のように分割しましょう。

分割前
 業務報告資料を作成する

分割後
 報告資料で何を最終的に伝えたいかについて考える
 伝えたい内容に対してストーリーを考える


2.タスク間の依存関係を少なくする

「A」というタスクと「B」というタスクがあったときに、Aのタスクの結果がBのタスク内容に影響を与えてしまうときに、BはAに依存するといいます。
このときタスクBから先に作業を始めてしまうと、Bの作業を行っているときに常にAのタスクのことを頭の片隅に置きながら作業をしなければなりません。これは、ワーキングメモリの無駄使いです。
必ずA -> Bの順番で行いましょう。

現実的には、タスク間の依存を0にするのは厳しいですが、意識して減らせるものは減らしましょう。
一見複雑な問題でも分割していくと、いくつかの独立した問題が複数集まっている場合もあります。

3.自分一人でできることと、人に聞かなければならないことでわける

この理由は簡単で、自分の時間は自由に使えるが、他人の時間は自由に使えないからです。
人に聞かなければならないことは別タスクにしておきましょう。 そうすれば、仮に聞きたい人のスケジュールが押さえられなかったとしても、別のタスクを進めておくことができます。例で言うと次のような感じですかね。

分割前
 業務報告資料を作成する

分割後
 報告資料で何を最終的に伝えたいかについて考える
 伝えたい内容に対して論理展開を考える
 Aさんに根拠となるデータBをもらう
 データCについてまとめる

4.完了条件を明確にする

タスクが9割くらい完了した段階で、安心して次のタスクを初めてしまうことがよくあります。
これは、残ったタスクがワーキングメモリを汚染する原因になってしまいます。 終わったと言い切れるように明確な完了条件を明記しておきましょう。

分割前
 業務報告資料を作成する

分割後
 報告資料で何を最終的に伝えたいかについて考える
  →完了条件:結論ページをテキストベースで完成させる

 伝えたい内容に対して論理展開を考える
  →完了条件:ページ配置と、各ページの表題の記入を完成させる

 Aさんに根拠となるデータBをもらう
 データCについてまとめる
  →完了条件:資料に乗せられるグラフができるまで

 図の配置を見やすく整える
  →完了条件:資料が完成するまで

5.まとめ

いかがだったでしょうか?
業務報告資料を作成するという大きいタスクが分割され、最終的に完了条件も加えてすっきりタスク分割できていること理解していただけましたか?
分割できたら、依存関係に気を付けながら、優先順位をつけて確実にこなしましょう。

ちなみに、今回は個人のタスクについての分割方法についてまとめましたが、例えばあなたがプロジェクトのリーダーだったとして、メンバーに仕事を振り分ける際にも上記の手法は使えます。

自分の経験上、優秀なリーダーほど、難しい課題に対しての分割が正確で素早いです。



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Text by Takashi Yoshida